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  • 2019.07.07

売却時に知っておくべき、瑕疵担保保険とインスペクションの重要性

 

 

民法の改正により、2020年4月1日より売主の『瑕疵(かし)担保責任』が廃止され、

新たに『契約不適合責任』という責任が売主に課させることになります。

 

契約不適合責任では、売主は契約内容に合う欠陥のない目的物を給付する義務がある

という考えに立ち、契約内容に適合しているかどうかの責任が問われるものになります。

 

あくまで契約書に書かれている内容と合致しているのか、していないのかが問題となり、

買主が瑕疵を発見できなかったかどうかは問題にはならないということです。

 

瑕疵とは、その物の品質や性能に欠陥が有ることを指し4つに分類されます。

【具体例】

物理的瑕疵:(家)雨漏り/シロアリ/家の傾き (土地)土壌汚染/地中障害物

法律的瑕疵:法令等の制限により、自由な使用収益が阻害されているもの

心理的瑕疵:過去に、自殺や殺人事件、火災、事故など心理的な面で住み心地の良さを欠くもの

環境的瑕疵:近隣からの騒音、異臭、振動、反社会的事務所があるなど安全で快適な生活が害される恐れがあるもの

 

契約不適合責任では、隠れた瑕疵かどうかは関係ありません!

※隠れた瑕疵とは、買主が通常の注意を払ったのにも関わらず発見できなかったもの

 

旧民法で買主が請求できる権利は、「損害賠償」と「契約解除」の2つでしたが

契約不適合責任では、新たに「追完請求」と「代金減額請求」が追加されます。

 

民法改正後は買主の救済手段が増え、契約の内容に合致しない目的物が引き渡された

場合に、請求できる権利は簡単に説明すると以下のような内容となります。

 

・追完の請求・・・「直してください」という請求する権利。

・代金減額の請求・・・補修しない・出来ない代わりに代金減額を求める権利。

・損害賠償の請求・・・発生した損害について、売り主に請求できる権利。

・解約の解除・・・一定の条件のもと契約を解除する権利。

※追完・代金請求は、売主が無過失でも買主は請求が可能です。

 

 

改正後、想定外のトラブルに巻き込まれない様にする為には、契約内容を明確に

しておくことが一番重要な対応です。

売買契約書・告知書(物件状況確認書)・付帯設備表に「物件のここが壊れている

けど、了解して下さい」といった内容を明確に書き込むということに尽きます。

 

瑕疵が隠れているか、隠れていないかではなく、書かれているか、書かれて

いないかが問われるようになるからです。

 

また、改正前では重要事項説明書に記載があっても、売買契約書には記載がない

ような書面も多く見られますが、今後は売買契約書が非常に重要になってくるため、

売買契約書と重要事項説明書に同じことを書くことも求められます。

契約書類の完成度が低ければ、契約不適合責任に問われる可能性が高くなることも。

売主にも、不動産会社に任せきりにせず、契約の内容を十分に確認していく対応が

求められます。

 

売主からすると、追完請求がなされた場合の補修はとても厄介なことから、

インスペクションの実施や瑕疵担保保険の付保も重要性を増していきます。

 

契約不適合責任に対処するためには、売主としては瑕疵担保保険を付保してから

売却することが望ましい対応です。

 

 

瑕疵担保保険とは、構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分等に

ついて瑕疵が発見された時、その修補費用が支払われる保険のことをいいます。

瑕疵担保保険に加入していれば、修補請求が来ても保険でカバーすることができ

ますので、売主は安心して物件を売ることができます。

 

尚、インスペクションを実施することも契約不適合責任に対処するため有効です。

 

 

インスペクションとは、建物専門家による目視や計測等による建物状況調査のことで、

この検査に合格しておくと建物に大きな欠陥がないことが分かるため、安心して売却

することができ、インスペクションに合格することで瑕疵担保保険を付保できる要件の

1つを満たすことにもなります。

瑕疵担保保険の加入条件は、「新耐震基準を満たしている建物」で、かつ「インスペク

ションに合格していること」という2つの要件が必要となります。

 

瑕疵担保保険の付保は、住宅ローン控除適用要件の一つでもあるため、木造なら

築20年超、鉄筋コンクリートなら築25年超の物件の場合、インスペクションに

よって、築年数の古い物件であっても住宅ローン減税が適用されるケースも出て

きますので、買主側にもメリットが生まれます。

 

インスペクションや瑕疵担保保険は、今後ますます重要になってきますので、

制度をよく理解し上手に活用されてください。

 

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