適正価格と乖離した売却物件の行く末...
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- 2020.08.18
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120年ぶりの大改正!売買契約はどのように変わるのか?!
改正民法で、今後の不動産契約のチェックポイント
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令和2年4月1日から施行される民法改正についてお話をしたいと思います。
明治時代の制定以来、120年ぶりの大改正とも言われておりますので、何が
どのように変わるのか、あまり一般的に認知されていない?のではないかと
個人的に感じているので、少しずつお話していきます。
来たる令和2年4月1日より施工される民法ですが、現代社会に適した内容に
改正とされるようです。
①判例の蓄積を取り入れる
②わかりやすい文言にする
③社会経済の変化に対応する
④国際的な取引ルールとの整合性を図る
以上の理由によりこれまでの民法から改正されるのですが、120年前の制定時
とは比べものにならないくらい時代背景も変わり多様性が求められる昨今に適した
内容となり、特に②~④はとても重要な規範となるのではないでしょうか。
【売買契約編】
今回の不動産における代表的な改正が、「当事者の合意」を重要視していることが
挙げられます。
旧民法の伝統的な考え方は、不動産は取替えのきかない「特定物」であり、隠れた
瑕疵(欠陥)があっても売主が補修する責任はなく、物件を現況で引き渡せば債務
の履行を果たしたことになると考えられておりました。
しかし、それでは対価を支払う買主があまりにも不公平となる為、別で「瑕疵担保
責任」という制度を設け、引渡し後に隠れた瑕疵が発見されたとき、買主は「発見
後1年間」は売主に対し損害賠償を、契約の目的が達成できない場合には契約解除
を請求できるという2つの救済手段を与えました。
しかし実態としては、売主が負う瑕疵担保期間を「引渡後3ヶ月」と責任期間を
限定することが多く、買主の合意を得ることができれば売主の瑕疵担保責任を
全部免責とすることもありました。
この救済手段は、不動産の売買契約を締結した当事者は当然、欠陥のない物件を
想定している為、当事者の意思や常識からかけ離れたものであると批判されること
もありました。
※隠れた瑕疵とは、例えば雨漏りや土壌汚染・シロアリ被害などで売主が通常の
注意を払ったのにも関わらず発見できなかった瑕疵のこと。
そこで、新民法では、「特定物」の売買契約であっても、売主は単に現況で引き
渡すだけでなく、「契約の内容に適合した物件」を引き渡す契約上の義務を負う
という考え方を前提に、物件に欠陥があれば売主は債務不履行責任を負うという
規律に改められ、売主の責任が強くなっているのです。
新民法では、隠れた瑕疵であるかどうかは関係なくなり買主は売主に対して【契約
不適合責任】を追及できるようになり、契約内容に合致しているかどうかが問われる
ように変わります。
そして現行の瑕疵担保責任では、買主が請求できる権利は「損害賠償」と「契約解除」
の2つだけでしたが、契約不適合責任では「追完請求」と「代金減額請求」が新たに
加わります。
契約不適合責任では、買主は売主に対して「直してください」という追完請求する
ことが可能となり、売主が不適合部分につき無過失(わざと壊したものではない)
の場合でも認められます。
また、契約不適合責任では代金減額請求が認められ、売主が修補しない、あるいは
修補不能である場合、代わりに代金を減額することができるという権利です。
原則としては、追完の催促をしても売主が応じない場合、代金減額請求ができる
ようになり、売主は追完を拒んでも代わりに代金請求を受けてしまうという事です。
代金請求に関しても、売主が無過失であっても買主は請求が可能です。
現行の瑕疵担保責任による契約解除は「契約の目的が達成できないとき」に限られ
ていましたが、契約不適合責任の契約解除は、「契約の目的が達成されるとき」
でも解除が可能になります。
契約不適合責任では、損害賠償請求も可能であり、現行では登記費用や調査費用等に
限られているとされていましたが、契約不適合責任の損害賠償請求は履行利益も
含まれます。
履行利益とは、例えば転売利益などにより発生したであろう利益が該当します。
契約不適合責任では、追完請求や代金減額請求とあわせて損害賠償請求ができる
ようになるため、売主の責任はかなり重くなったといえます。
このような事態に備える為には、瑕疵担保保険の積極的な付保がますます重要と
なります。
瑕疵担保保険とは、売主の瑕疵担保責任に伴う補修費用の一部を保険でカバー
することができる保険のことで、付保する事で売却後に追完請求が発生した場合に
備えることができます。
売主に課せられる責任に備える方法として『ホーム・インスペクション』と
いうものもあります。
ホーム・インスペクションとは、住宅の専門家が第三者の立場で客観的に住宅の
状態を評価するものです。
売主のメリットとしては、きちんと第三者の調査を受けることで売却時の物件の状態や
物件の経年劣化について、より正確に欠陥の有無を判断し、建物の状態を売主に告知
することができ、知らなかった隠れた瑕疵について発見できることも。
※100%欠陥が発見できるという保証はないところは注意が必要です。
また、買主側にもメリットがありホーム・インスペクションによって、築年数の
古い物件でも住宅ローン減税が適用されるケースも出てきます。
中古住宅で住宅ローン減税が適用されるのは築20年までですが、それ以上の築年数が
古い物件である時、減税が適用される1つのケースとして、ホーム・インスペクション
を行い、瑕疵保険に入れるかどうか、耐震基準適合証明書を取得できるかどうかを確認
し適合できなければ、それに合わせた修繕、耐震工事を行うことで、住宅ローン減税が
適用されるケースもあります。
ホーム・インスペクションについては、売主と買主どちらにもメリットがあるので
改正後は、ますます浸透していくものとなるでしょう。
契約書類についても、【契約内容に合致しているかどうかが問われる】という新民法
で、重要視される「当事者の合意」に対応すべく目的物の内容を明確にしていく必要
があり売買契約書・付帯設備表・告知書をしっかりと記載することでが、より一層重要
になってきます!
売主様もこの法改正に伴う責任負担を知って頂き、不動産会社が漏れのない契約書類
を間違いなく作成してくれているのか、新民法を理解し対応する知識がある業者で
あるかの見極めも必要です。
改正後に掛かる売主側の責任や負担を考えると、近々売却する予定のある人で
あれば改正前に売却してしまった方が気は楽でしょう。
アース不動産では、新民法に対応する知識・危機管理をもってしっかり売主様の
ご売却をサポート致します。
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